まるで高級ぜんざいのよう!阿佐ヶ谷のたい焼き屋「ともえ庵」、その美味しさの秘密に迫る!

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表面がほどよく焦げ、パリっと焼き上げられた「白玉たい焼き」。

薄くて香ばしい皮の中には、甘さ控えめで上品な餡子(あんこ)。そして、モチモチの白玉がぎっしり。口に運ぶと、その風味はまるで高級なぜんざいを食べているよう。

ああ、幸せ……。

このたい焼きを作っているのは、阿佐ヶ谷にある「ともえ庵」。

「一丁焼き」と呼ばれる製法にこだわり、1匹ずつ丁寧に焼き上げる同店のたい焼きは、阿佐ヶ谷の住民のみならず、他の地域からも買いに来るお客さんがいるほどの大人気スイーツなのだとか。

なぜ、ともえ庵のたい焼きはこんなにも味わい深いのでしょうか?店長の井上泰仁さんに、その秘密をお伺いしてきました。

根底にあるのは、徹底した素材へのこだわり

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▲井上さんの手によって、ひとつひとつ丁寧に焼き上げられるたい焼き。価格が安くなる毎月10日の「ともえ庵の日」には、なんと1,000個以上もの売り上げがあるのだとか。

―ともえ庵のたい焼きはものすごく餡子が美味しいですよね。どうしてこんなに上品な味なのでしょうか?

井上 その秘密は、私たちが甘く“ない”餡子を目指して作っているからです。実は、餡子というのは甘くない方が美味しいんですよ。正確に言うと、砂糖の甘さは可能な限り控えめにして、小豆そのものの味がきちんと出ているものが良いとされているんです。

―それ、目から鱗(うろこ)です。でも、世の中にある餡子のほとんどって、かなり甘いですよね。

井上 実は、和菓子屋さんなどが餡子を甘くしているのには理由があって、砂糖というのは甘味料であると同時に保存料でもあるんです。つまり、砂糖がたくさん入っているものの方が長持ちするんですよ。

―なるほど、そういう事情があるんですね。では、経済性の面だけを考えれば、砂糖をたくさん入れた方が良いと。けれど、ともえ庵の餡子はそれとは逆に、徹底的に“味”を重視して作っているわけですね。

井上 その通りです。実はそれに加えて、味を徹底的に追求するため、うちの餡子は作ってから1日経ったものは全て廃棄しています。冷蔵して一晩おいたものは、やはり作りたてより味が劣ってしまいますし、その状態の餡子をお客さんに食べてほしくないからです。

もちろん「もったいない」と感じるときもありますし、廃棄がたくさん出たときは経済的に痛手を負います。けれど、美味しさにこだわり抜かなくては、お客さんに満足してもらえるたい焼きにはなりません。そこは、私たちがプライドを持って守っているところなんです。

たい焼きの調理法はすべて独学で学んだ。師匠は“クックパッド”

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▲大量生産用の型に生地を流し入れて作られるものが「養殖物」と呼ばれるのに対し、一丁焼きによって焼き上げられたたい焼きは「天然物」と呼ばれるそう。鉄製の型は、ずっしりと重量感があります。

―これだけの腕を身につけるために、どのような場所で修業を積んできたのでしょうか?

井上 実を言うと、創業当初は未経験のメンバーしかいなかったんです(笑)。どこかで修業をした者は皆無でした。

―ええっ、本当ですか!では、どうやって調理法を学んだのでしょうか?

井上 それは、クックパッドです!

―クックパッドって、あの料理レシピが載っているクックパッドですか!?

井上 その通りです(笑)。店を立ち上げる何か月か前に、メンバー同士で「どうやって調理法を勉強したらいいだろう」という話になりまして。「やはり調理法を勉強するならクックパッドだろう!」と。そこで、掲載されていたたい焼きのレシピを参考にして、知り合いの家のガレージを借りてひたすら練習を重ねたんです。

―そのレシピを元にして、これほどのレベルまで到達できるものなんですか?

井上 もちろん、そのレシピだけでは高い水準の味には到達できません。そこで私たちが何をやったかというと、都内にある有名なたい焼き屋さんを片っ端から研究していきました。どんな焼き方をしているのか。餡子や皮はどんな味なのか。どういった方法で注文をさばいているのか。

それらをひとつひとつ分析し、自分たちのものとしていくことで、有名店のたい焼き職人にも負けないような技術を身につけていったんです。

阿佐ヶ谷への想い。そして、お客さんへの想い

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▲ともえ庵ではたい焼きだけでなく、練乳餅や練乳シェイク、かき氷も販売しています。実はこれらの商品も、たい焼きに負けないくらい絶品なのです。

―もともと、創業当初は中野に店舗を構えていて、それから阿佐ヶ谷に移転してきたとお聞きしました。阿佐ヶ谷の良いところってどんなところでしょうか?

井上 阿佐ヶ谷というよりは、ともえ庵が入っている「阿佐ヶ谷パールセンター」というアーケードの良いところになってしまいますが、屋根がついているのがすごく便利ですよね。もし雨が降っていたとしても、パールセンターの中であれば、ほとんど濡れることなくブラブラすることができますから。

―特に、たい焼きのような食べ物の場合、「買って食べ歩きたい」というケースも多いでしょうから、余計にその恩恵があるでしょうね。

井上 はい。実は中野にいたころは、雨が降った日にはガクッと売り上げが落ちていました。やはりお客さんも、雨の中食べ歩いたり、行列に並んだりするのはおっくうだったんだろうと思うんです。

けれど、本当に嬉しいなあと思うのはね、中野に店を構えていたころ常連だったお客さんが、阿佐ヶ谷に店を移してからもうちの店に来てくれるんですよ。「やっぱりここのたい焼きでないと駄目だ」と言ってね。だから私たちにとっては、阿佐ヶ谷のお客さんも、中野にいたころのお客さんも、どちらも本当に大切なものなんです。

―お客さんとのエピソード、本当に心が温まりますね。それ以外にも、この仕事をやっていて、やりがいを感じる瞬間とかってありますか?

井上 たい焼きって、全ての工程が自分ひとりで完結しているんですよ。要するに、素材を仕入れる、仕込む、焼く、そして販売する。その一連の流れを、全部自分がやることができます。だからこそ、「このたい焼きは、本当の意味でイチから自分が作ったものだ」という実感をすごく得ることができますよね。

―言われてみれば、その通りですね。そういうふうに、スタートからゴールまで全てを経験できるような仕事、けっこう珍しいかもしれません。

井上 そうなんです。そうして自分の力で作ったたい焼きを、お客さんに食べてもらって、「美味しい」と言ってもらえる。しかも自分の目の前で。こんなに素晴らしい仕事、なかなか無いですよ。

あなたも「ともえ庵」で、極上のたい焼きを

阿佐ヶ谷パールセンターに店舗を構え、今日も美味しいたい焼きを作り続ける「ともえ庵」。その美味しさの秘密は、ひたむきにお客さんのことを考え、品質に徹底的にこだわる姿勢にありました。あなたも阿佐ヶ谷パールセンターにお越しのさいには、ぜひ同店に足を運んで、極上のたい焼きを食べてみませんか?

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所在地:杉並区阿佐ヶ谷南1-35-20
TEL:03-3361-6387
営業時間:11:30~20:00(餡がなくなり次第、終了)
定休日:水曜日
URL:http://www.tomoean.net/

(取材・執筆/中薗昴)

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