「紅茶とこけしの店 西荻イトチ」の心地よさはどこから生まれる?

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心地よいって、どんなときに生まれる想いだろう?と、ふと考えてみる。気の置けない友達と一緒に過ごしているとき、美味しいものを食べているとき、自分の大事なものに囲まれているとき…。そして、西荻窪にある「紅茶とこけしの店 西荻イトチ」で過ごすときも、そのひとつ。この心地よいお店の店主・伊藤ちえさんに、お店にまつわるいろんなことを伺いました。

イギリスの紅茶はなぜ美味しい?

―紅茶の道に進むことになったきっかけは、22歳のときにイギリスで飲んだミルクティーだとか。イギリスのミルクティーの魅力について知りたいです!
 
伊藤 イギリスって、宿に電気ポットとティーバッグが備え付けてあって、ミルクも置いてあるんです。その紅茶がイギリスならではの味で、印象的でしたね。はじめて食べたイングリッシュブレックファーストの紅茶も、やはり美味しくて。日本で飲む紅茶と、全く違うんです。やっぱりおいしいと再認識したのは、二回目以降ですかね。

よく皆さん誤解されるのですが、紅茶がとれるのは、イギリスではなくインドやスリランカです。じゃイギリスのなにがすごいって、ブレンドのスキルが抜群なんですよね。自分の国の水にあわせて、紅茶の葉をブレンドし始めるほど、紅茶に対して研究熱心なんです。

ミルクティーを飲むのが大好きな国で、毎日、朝11時、昼、3時のティータイム、夜と少なくとも1日少なくとも4~5回くらいは飲む習慣があります。

後味もスッキリ!何杯でも飲みたくなる

―先ほどいただいたミルクティーは、さらっとしてとっても飲みやすかったです。

伊藤 本来は、こうなんです。何杯でも飲めるのがミルクティーなので、たっぷり飲んでもすっきりするというのがミルクティーなんですよ。

現地のスーパーに足を運んだときに、ミルクの種類がまず違うことに驚きました。日本では、高温殺菌牛乳が基本なのに対し、イギリスでは低温殺菌牛乳が基本です。とはいえ、低温でも温度によって全く違うものになるので、低温殺菌だから必ず美味しいというわけでもないんですよね。この店では、イギリスのミルクティーのようにミルキーでさっぱりしたものを提供しています。

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―その後、紅茶専門店やティールームなどで勉強をした後、栃木県・益子でtete café+galleryのカフェを担当し、このときお店OPENと同時にオリジナル紅茶ブランド「Sunday Sunny Milktea」を立ち上げたとか。この紅茶ブランドのイメージは、やはりイギリスで飲んだミルクティー?

伊藤 はい。あまりミルクティー向けの茶葉がないなと思っていたので、だったら自分でブレンドしようと。

―ミルクティー向けの茶葉って、具体的にどんなものですか?

伊藤 コクがあるもので、紅茶本来のしっかりした甘い香りがあって。ただ皆さん、それぞれ好みや感覚が違うと思うので、私が思う、ベストのミルクティーがそういうものということです。

―そして、2013年4月23日「紅茶とこけしの店 西荻イトチ」をOPEN。紅茶とこけしという組み合わせも、西荻イトチという店名もなんだか印象に残ります。

伊藤 紅茶と郷土玩具の店と思って頂けたら。この店を開く前に、2回ほどレンタルスペースに出店していたのですが、そのとき、「紅茶とこけし」を店のタイトルにしていたんです。「西荻イトチ」だけだと何のお店かわかりにくいので、「紅茶とこけしの店 西荻イトチ」にすることに決めました。

Screen Shot 2017-04-28 at 11.52.17 AM

―ちなみにイトチというのは、ご自身のお名前を略して?

伊藤 はい。実は、昔からイトチって私のニックネームです。店名を悩んでいたころ、友人のダンナさんからの助言でイトチを使うことにしました。

毎日何杯でも飲めるような、飽きのこない紅茶を

 
―では、お店の名前自体が、昔から馴染みあるものなのですね。
ちなみに、このお店で扱う紅茶は、どんなものが多いのですか?

伊藤 基本的にはノンフレーバーで「毎日飲んでもらえるような、飽きのこないもの」を置いています。
そのほかに、アールグレイや季節のおススメなど期間限定モノもありますよ。春先は、花の香りのものも人気ありますね。

―期間限定といえば、ラムやウィスキーを使った紅茶もあるのですね。

伊藤 ラムティーやウィスキーミルクティーをここで飲んでおいしかったので、家でも作ってみるというお客さんも多いですよ。せっかく茶葉を持っているのに、使わないというお客さんもいらっしゃるので、紅茶を飲むひとつのきっかけになったら嬉しいですね。

ただ、フレーバーティーにしろ、ラムティーにしろ、バリエーションティーは、日本人ならではのモノかもしれません。イギリスの紅茶は、本当にシンプルで、ストレートかミルクのどちらか。紅茶に何か足さなくても美味しいのが、イギリスの紅茶なんです。

お客さんの好みに合わせて紅茶をチョイス

といっても、ストレートまたはミルクティーで飲むべき、とお客さんに押し付けないちえさん。好みやその時の気分で選ぶことができるから、居心地がいいのです。選ぶ楽しさは、ほかにもあり、紅茶はポットまたはカップから選ぶこともできるし、茶葉を入れたままにすることも抜いて出すこともできるとのこと。

―自分の好みに合った飲み方ができるのは、とても魅力的ですね。

伊藤 個人店なので、お客さんの好みに合わせたいな、さっと飲みたいときやどんな味かを試したいときはカップがおすすめですし、自分のペースやバランスで飲みたいときはポットで飲むと美味しく召し上がっていただけます。ずっと同じ濃さで楽しみたいときは、最初から茶葉を抜いた方がいいですし、風味の変化を楽しんだり、まずストレートで飲みたいときは、茶葉を入れたままがおすすめです。お客さんにもいろんな紅茶の楽しみ方を知っていただけたら。

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―そうそう!先ほどいただいたスコーン、とっても美味しかったです!やはり、紅茶には、スコーンが一番相性いいのですか?

伊藤 イギリスで食べたスコーンの味を再現したいと思って作ったのが、このスコーンなのです。紅茶は、焼き菓子全般的に相性がいいです。ミルクティーだと、ほぼなんでもお菓子と相性いいですよ。ただ、フレッシュなりんごを使ったちょっと酸味のあるお菓子なら、ストレートティーの方がフルーティーな味わいを楽しめます。ケーキの具の組み合わせによっても、ミルクティーが合うかストレートが合うか変わるのです。

こけしと初めて会ったのは…

―紅茶も、奥深いんですね。なんだか、また飲みたくなってきました!
そして、このお店のもう一つの主役といえば、こけしですよね。ちえさんが、こけしを直接見たのは、どこかのお店で?

伊藤 こけしを直接見てみたいと思った頃は、まだ東京ではそれほど新品のこけしを買う場がなかったんですね。そして、東北でこけしまつりというものがあることを知ったんです。じゃあ、行ってみようと。初めてのこけしまつりだったのもあり、あれもこれもほしくなって確か10本くらい買ったと思います。

―今、お店に置いてあるこけしは、どれもお気に入りだと思うのですが、その中でもダントツお気に入りってありますか?

伊藤 実は、私、一番のお気に入りというのはなくて。どんなに「いいなぁ」と思うこけしが届いても、販売せず手元に置いておきたいという想いはないんです。それよりも気に入っていただいた方のもとに行ってもらい、郷土玩具の魅力を1人でも多くの人に伝えたいという感じですかね。ただ、こけしのお店をやっている人は、自分の好きなこけしは手元に置いておきたいという人が多いみたいです。

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こけしをより知ってもらうために

「できたらその土地に出向き、こけしの生まれた空気の中で、こけしを作る工人さんからお話を伺いながら、こけしを買えたら幸せ」という、ちえさん。ただ販売するのでなく、お客さんにはこけしの成り立ちや歴史について伝えることが多いそう。

―工人さんとお客さんを繋ぐのが、このお店なのですね。

伊藤 せっかくお店でお客さんに直接こけしをお渡しできるのだから、こけしの成り立ちやどんな人が作っているかを伝えたほうがいいかな、と。

お客さんが選ぶこけしで、その方の好みも徐々にわかってきます。最初は、皆さんいろんなものを買うのですが、だんだん好みがでてきて、こけしの選び方一つでもその人らしさって出るなぁとつくづく思います。

―紅茶とこけしを繋げようという想いで、紅茶とこけしのお店を?

伊藤 紅茶とこけしどちらもお店にあったら、相乗効果があるかなと。紅茶が好きな方がこけしにも興味を持ってくれたり、こけしが好きな人が紅茶を飲むようになってくれたり。

元々郷土玩具が好きで、このお店を通して、郷土玩具を応援したいという気持ちがありました。今は工人さんの年齢も高齢化して70代くらいの方が多く、若い工人さんがいたとしても数えられる程度です。つまり、この先もずっとこけしが作られていくのは厳しい状態なのです。工人さんたちが元気で、こけしが作られているうちに自分らしい形で応援できたら、と思いますね。

Screen Shot 2017-04-28 at 11.52.49 AM

取材を終えて
こけしとの出会いは、一期一会。一つひとつが手作りなので、たとえホームページでお気に入りのこけしを見つけたとしても、まったく同じものが手に入るとは限らないとか。ほしいと思ったこけしがあるならば、迷わずそのとき買ったほうがいいとのこと。

紅茶やこけしへの想い、そしてお客さんや工人さんへの、ちえさんの想いが優しく溶け合う西荻イトチは、まさにミルクティーそのもの。その想いは、熱くなりすぎることなく、ちょうどいい温度を保ち続けています。その心地よい温度が、きっと「西荻イトチ」の心地よさに繋がっているのだと、確信しました。皆さんも、「西荻イトチ」でその心地よさを実感してみませんか?

西荻イトチ

住所:杉並区西荻北2-1-7
TEL:03-5303-5663
定休日:月曜日(臨時休業あり)
HP:http://tea-kokeshi.jp/

(取材・撮影 阿部裕子)

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