野菜卸からバーのマスターへ~バーボンさんの「今」に至るまで~

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高円寺という街は、エキサイティングな街。

昼は飲食店や古着屋さんをはじめさまざまな店に人が集まり、夜になるとバーや居酒屋に人が集まり始め、高円寺の一日は朝までエンドレス。個性溢れる店が多いのがこの街の特徴で、もちろんこの店もそのひとつ。高円寺駅北口徒歩1分のバーボンハウスです。

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看板からして、なんだかロック魂を感じるのは私だけでしょうか。

ワクワクしながら階段を上って、二階にあるお店に着くとバーボンさんが優しく迎えてくれました。カウンターにずらりと並んだお酒は、今宵は何を飲もうかとワクワクさせてくれます。

なんと150種類ものバーボンを揃えているとか。日本テキーラ協会公認マエストロの資格も持っているそうです。
 
 
 
 

実は、バーボンさん…「バーボンハウス」のほかに、高円寺にもう一軒「メキシコ料理店 テキーラハウス」、つい最近新宿歌舞伎町にも「カーサ テキーラTokyo」をOPENさせたばかりというスゴい人なのです!

そんなバーボンさん、10数年前までは築地で野菜卸の仕事をしていたとか。野菜卸の仕事からバーのマスター? なんだか共通点がありそうで、なさそうな。

バーボンさんの「今」に至るまでについて、知りたい! というわけで、さまざまなお話を伺ってみました。

かつての夢は…ロックスター!

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―本日は、よろしくお願いいたします。この仕事を始める前は野菜卸の仕事をしていたと伺いました。そもそもどうしてその仕事を始めることになったのですか?

バーボン 当時は、ロックスターを目指していました。バンドをやっていたのですが親にも迷惑かけるわけにいかないし仕事をしようかと思ったんですよね。

ライブハウスのスケジュールは大体昼3時くらいからリハーサルだから、それまでの時間にできる仕事を探したら、魚や・八百屋・新聞やさんの3つ。じゃあ八百屋さんにしよう、と。

―野菜卸の仕事って、一日はどんな感じなのですか?

バーボン 22歳から32歳まで、10年間築地で働いていました。

僕の場合は、朝3時に出勤し、ターレーという小型車で市場内を回って、野菜を集めました。前日発注を受けた野菜を仕分け後、車に積んで飲食店20軒~30軒に配達しながら、それぞれの店のニーズをリサーチします。12時で配達が終わるけど、まだ仕事はあります。

野菜は生鮮食品だから毎日棚卸しがあり、気が付いたら昼の3時、4時。さらに「あれが入っていなかった」「追加でお願い!」と飲食店からの注文があるので、帰りがてらオートバイで持っていくことも。

好きなことをしようと決めた1年間

―野菜卸の仕事をやめたきっかけとは?

バーボン 25歳の時にロックの夢をあきらめて、翌年会社が倒産。うちに来いよと声をかけてくれた仲間もいるけど、全部断ったんです。好きなことをしよう、やりたいことがはっきりするまで働かねーぞと気合入れて。

はじめは、何もしないのが新鮮でした。とはいっても無職で一年いると、やっぱり病んできて。しかも、バイクを盗まれてしまい、ローンを組んでいたので、結局また築地に戻りました。

でも、なにかやりたいことを見つけようという気持は変わりませんでした。

その頃ちょうど草野球に誘われて、付き合いで高円寺に飲みにいくようになり、そのとき行きつけの店ができたんです。なぜか、その店のマスターにバーボンと呼ばれていました。仕事場以外の人に親しみを込めて自分の名前をよばれるのが、なんか嬉しくてね。

―このときから、バーボンさんだったのですね。

バーボン で、マスターの仕事をみていたら、お酒を出す仕事いいなと思ったわけですよ。お酒はくさらないし、なんていい商売なんだ、この仕事をやってみようと。このときは飲食業をナメてかかっていたんですね(笑)

僕は早く寝たい人だったので、その行きつけの店も開店と同時に入って客は僕ひとり。

で、夜10時くらいには帰るんです。次に行ったときに、マスターが、「なんであんなに早く帰っちゃうんだよ。お前が帰った後に、すぐに巨乳のコがきたのに」と。また次に行くと、マスターがまた同じようなことをいうわけですよ(笑)

当時、ウブだった僕は信じてしまい、バーというところは、遅い時間から面白いものなんだと信じてしまったわけです。それで、家で待機し夜10時か11時にそろそろあの店にいくか、と。でもやっぱりそういう女性はこないんです。

だったら、開店から閉店までいるしかない。そういうわけで自分でお店を開けました(笑)

―高円寺という街で出店したのはどうしてですか?

バーボン 高円寺は面白い街だな、と思ったんです。若者も老人もみんな元気だなと。

ある程度の時間になるとみんなさっと帰っていく街が多い中、高円寺は違う。さらに、ほっとする街だから、いいなぁと思ったからです。

野菜卸の仕事とバーの仕事を掛け持ち

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バーボン 2002年10月に1号店をOPENさせたのですが、それは、知り合いがお店をたたむというのを聞いて、じゃ僕がやりますよと言ってしまったのがきっかけ。当時は、築地に朝5時出勤だったから、仕事が終わって仮眠をとればなんとか8時には店を開けられるんじゃないかと。

―かなりハードで、寝不足だったのでは。

バーボン 眠かったですね。バーのカウンターにたっているときは緊張感があるから大丈夫ですが、野菜の配達のときが大変でした。車で移動中、よく信号待ちのときに寝ていました。六本木の交差点で信号が赤になったときサイドブレーキをひいて、1分寝るつもりが15分寝てしまったことも。

―えっ!クラクション鳴らされなかったんですか?

バーボン もちろんクラクションならされていたみたいですが、熟睡してたからまったく気づかなくて。すぐに警察官がきて、散々調べられたんですよ。この頃は、睡眠時間1時間とか2時間がザラでしたね。

―このときが一番大変なときでしたか?

バーボン フジロックフェスティバルに初出店したときも、かなり大変でしたね。五日間連続で、まったく寝ず食わずでした。勝手がわからないし、連れてきた人間も何もわからず、すべてが手探り。常に自分が指示を出さないといけないし、これは寝る時間がないぞと。

ならば、余計なことを考えない。寝ない、無駄なエネルギーを使いたくないから食べない。高円寺に帰ってきて、打ち上げをして乾杯をしたら、9割は寝ていました。無茶をしたけど、本当にみんな無事でよかった。あれは、かなりハードでしたね。

―野菜卸の経験が今の仕事に活きているときは、どんなときですか?

バーボン 流通の事をよくわかっていると、やはり便利ですね。ある程度相場というものがわかるから、どう値切ったらいいかわかるんです。あと野菜がどういうものか、どういうタイミングで高くなるかがわかる。メキシコ料理は、特にアボカドやトマトなど野菜をたくさん使うので、そういった面でも野菜卸の経験は役立っていると思います。

規模が大きいとスピードも上がる

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―3号店を新宿に出店したのはどうしてですか?

バーボン 本気のメキシコ料理をやるんだったら、ある程度の規模はあったほうがいいなと。フジロックに出店してからいろんなフェスに出させてもらうようになり、この規模だからできることっていうのがあるということがわかったんです。

フェスだったら1000杯売ることもできるし、在庫が余ることもないとメリットがたくさんある。1000食作るという考えだと、スピードも上がるんですよ。店だったら10杯、15杯で5分かかるけど、フェスだったら3人がかかりでやるから約10秒ででてくる。

新宿のお店は、今、お客さんのほぼ9割が外国人です。すぐ近くにロボットレストランがあるので、そこにかなりの観光客がくるんです。これから、日本人にも波及していけば。規模の大きいメキシコ料理って日本にはまだなかったので、やってみたかったんですよね。

もしかして八百屋のときより、今の方がきついかも。でも、この仕事、自分に合ってると思います。

歌舞伎町でも健在!のロック魂

―今一番エキサイティングなことといえば?

バーボン エキサイティングなことは、命の危険を感じるときですかね。日々、歌舞伎町の客引きと闘っているわけですよ。店の外に出て掃除していると、彼らがタバコのポイ捨てをしている。店のまわりが汚くなるので、マナー悪いよ、と口をすっぱくして言ってるんです。まるで不良たちと戦う熱血先生のように。

別に客引きするなといっているわけじゃないんです、ただマナーぐらい守ろうよと。「うるさいな、おれはここで10年やっているんだよ」と言われても「やめねーよ。俺はずっと言い続けるからな」とつい意地をはってしまう。

―なおさら、新宿の店から高円寺の店に帰ってくるとホッとしませんか?

バーボン やはりホッとしますね。今まではずっと高円寺の店でしたが、新宿の店をオープンさせたことで、高円寺に帰ってきたという感じがします。ここをこうしたほうがいいんじゃない?とスタッフと話すだけですが、その時間がなんだかホッとします。お店を閉めるときに「異常なし」と確認するのも、なんか落ち着くひとときです。これからも、3つの店で色々やってみたいですね。

男気溢れるロック魂を感じたい方は、ぜひ高円寺「バーボンハウス」へ

野菜卸の仕事からバーの仕事に転職し、3店舗もの店を束ねるだけでもスゴいことなのに、まだまだやりたいことがあると軽やかに語るバーボンさん、カッコよすぎてしびれちゃいます。ロックの夢を諦めたといえども、バーボンさんのロック魂は変わっていない、むしろよりグレードアップしているのでは。

高円寺は、肩の力を抜いてリラックスしながら、お酒を飲める街。あまり飲めない人もたくさん飲める人も、バーボンさんのお店でほろ酔いになりませんか?バーボンはもちろん、旬のフルーツを使ったカクテルもぜひどうぞ!

バーボンハウス

住所:杉並区高円寺北 3-23-13
電話番号:03-6750-8233

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