店主のこだわりが詰まった、“手間をかける喜び”を追い求める場所・阿佐ヶ谷「アンティークスカフェ」

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突然ですが、皆さん、趣味はありますか? 「趣味の1つや2つ持っていますよ」と答えるのが世の常でしょう。そして、続けてこうも言うのではないでしょうか? 「でも最近は忙しくて、なかなか時間が取れないんだよ」と。

自分の時間を作るのは意外と難しいもの。しかし、誰もが欲する自分の時間を、社会人になっても持ち続けている人がいます。それが今回ご紹介する、阿佐ヶ谷駅から徒歩10分ほどの場所にある「アンティークスカフェ」の店主、中川隆二(なかがわ・りゅうじ)さん。

止まり木のような彼のカフェにお邪魔し、時間の使い方と自身の趣味に関して教えていただきました。

自分の趣味を紹介していたサイトを、現実世界へ

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-世間一般的なカフェとは、雰囲気が少し違うと思うのですが、このようなカフェをはじめようと思ったきっかけは何ですか?

実は、元々『アンティークスカフェ』というホームページとブログを開設していて、僕の趣味や集めているものを紹介していたんだ。それでカフェを出す時に、同じ名前でオープンしたっていうね。

-ブログが、現実のカフェになったイメージですね。具体的にどんなことを紹介していたのか、教えていただけますか?

プラモデルや好きな映画、ゲーム(ゲーセンの)、バイクのカスタムとか多岐に渡るよ。ちなみにカスタムとは、バイクのハンドルや燃料タンクなどを自分好みなものに変えること。

そうしてブログを続けていたら、最終的に1日に600〜700人くらいの方が見てくれたんだよね。で、ブログでは主にバイクのことを載せていたから、お店にはバイク乗りのお客さんが結構多いかな。

-バイク乗りから愛されるカフェって、なんだかかっこいいですね。バイク好きなら一度は足を運んでみたくなると思います。

そう言ってもらえて、嬉しいよ。カスタムのことを話すと、「バイク詳しいんですね!」と言われるけど、実は、僕の趣味の中でバイクは一番歴史が浅いんだ。プラモデルやゲームの知識の方がもっと深いよ。ゲームソフト卸しの会社や模型メーカーで働いていたりしたから、自然と知識が付いたっていうのもあるかもしれないけど。

共有と共感。自分の世界をみんなに知ってほしかった

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-仕事にするほど好きなものや、バイクのカスタムのことをブログで紹介しているというお話でしたが、どうしてブログをはじめようと思ったんですか?

僕は、自分の趣味の世界というか「世の中にはこんなにも面白いものがある」ということを発信したくて、ホームページをはじめたんだ。そして、ブログを読んだ人が共感し、情報をシェアしてほしいと思っていた。

だって趣味って、ひとりで完結してしまったら面白くないじゃない? バイクのカスタムひとつとってもそう。僕が最初に買ったバイクがベスパという「ローマの休日」で有名になったバイクなんだけど、ベスパってこんな面白さがあるってブログで紹介すると、わかる! と共感してくれる人がたくさんいたんだ。

それが楽しくて、更新していたよ。

-そんな思いからブログをはじめていたんですね! その思いをままに、お店にしたと思うのですが、ブログと何か変化はありましたか?

ブログではどちらかと言うと、共感の部分が強かったと思ってる。顔をあわせることがないので、こちらから情報を発信するにとどまるよね。

しかし、これがお店となることで、実際に顔を合わせて趣味について話すことができる。すなわち、共有の部分だね。お店にすることでここが強まった気がするんだ。共感と共有をすぐに生み出すことができる、これが僕のお店の特徴かな。僕が介入しなくても、お客さん同士で仲良くなっていくのも嬉しかったよ。

理想の生活は、「手間をかける」喜びにある。こだわりを持った隆二さんの“幸せ”

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-お客さん同士の話のタネにもなる、隆二さんが集めたものが所狭しと店内にありますが、どういうものが多いのでしょうか?

基本的には、アンティークなどの長く使えるものを集めてる。だから素材に関しては、結構うるさい。アルミや真鍮、ガラス、ステンレスなど100年経っても壊れないものを選定しているんだよね。

※真鍮・・・銅と亜鉛との合金。黄銅。さびにくく加工が容易

例えばこれは、バイクのカスタムにも使っている真鍮のマイナスネジ。

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マイナスネジが好きだから、集めているんだ。ちなみにお店のロゴにもなっているよ。

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あと、お店の看板「ANTIQUES CAFE」も自分で真鍮をくりぬいて作ったんだ。

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店名にもなっている「アンティーク」って、「100年経っても使える、劣化しないもの」を指すんだけど、そういったものをたくさん集めているかな。

ちょっと高くて作りのいいものは、一生使い続けることができる。そういったものは、何度も買い換える必要もないし、なんだか満たされたような気持ちになるんだよなぁ。

-ものを大切にし、愛することは素晴らしいですよね。特に思い入れの強いものはありますか?

全部、思い出のものなんだよね(笑)ほら、ライターなんてこんなにあるよ。

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▲こちらのライターの写真を撮る際も「ちゃんと綺麗に並べなきゃダメだよ」と隆二さん。右の真鍮の灰皿は、46mの弾丸をリメイクしたもの。

これは全部同じもの。使い捨てのライターとは違って、オイルを注ぎ足す手間があるんだけど、それがたまらなく好きなんだよ。その他にも、こだわりのものを紹介しはじめたらきりがないね!

-それは、また個人的に伺います(笑)。隆二さんは、大量生産・消費の現在にはない、昔のもの作りが好きなんですね。きっかけは、何かあったのでしょうか?

昔見た海外の映画で、フィアットという車に革の鞄をくくりつけて、ピクニックに出かけるシーンがあったんだ。かっこいいなと思って、革の鞄を集めたのがきっかけだと思う。で、これって昔のものをかっこいいなと思うと同時に、僕の理想の生活だったんだよね。

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▲隆二さんの革の鞄コレクション。

例えば、休日公園に行く計画を立てる。朝起きてサンドウィッチを一つ一つ作って、カフェオレをお気に入りの水筒にいれて、デザートのりんごと一緒に革の鞄に詰める。着いたら、車からくくっていた鞄をほどいて、手作りのサンドウィッチを頬張る。りんごはピーラーではなくて、ナイフでしゃりしゃりと剥く。

皆も、一度は憧れたことあるでしょう? そういうのが、好きなんだよなぁ。

-それって時間がかかってしまいませんか? ピーラーで剥いた方が早いし…。

そう、世間一般の人は面倒くさいと思ってしまうだろうね。でも、僕にとってはこれが理想の生活であり、手間をかけるという楽しさであり、幸せ。

こういうゆったりとした時間を、自分の時間として楽しんでいるよ。

家の次に落ち着ける場所、それがカフェ

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-手間になることが、自分の時間であり、楽しみということですが、カフェも楽しんで経営しているのでしょうか?

そうだね、カフェも楽しんで経営しているよ。それは、副業としてやっているからなのかもしれないけどね(笑)

-え、副業なんですか?

日中は別の仕事をしているんだ。カフェだけで食べていくのは難しいと思っていて。アンティークスカフェは、頑張らないカフェ経営といったところかな。「なんとしてもカフェで成功しなければ」って思うと、楽しくなくなってしまうんだよ。

それに、もし僕がバイクで事故に遭ってしまったら、お店を開けられなくなり、家族が路頭に迷ってしまうからね。見てよ、この可愛い娘を。この子を路頭に迷わせるわけには、行かないよねぇ。

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▲隆二さんの愛娘すみれちゃん。まだこの世に生を受けて3か月。

-二つの仕事を両立するのは、大変なことも多いのではないでしょうか?

そりゃあ忙しい時は、もちろんあるよ。でも僕の場合は、自分が楽しむ時間としてのカフェ経営なんだ。

現代人って、毎日夜遅くまで仕事をしていて、自分が楽しむための時間が確保できていないと思うんだよね。これでは、当然いつか体も心も壊してしまう。自分と向き合う時間は、忙しくても必要だよ。

-隆二さんは、自分のお店がありますが、そうじゃない人はどこで自分の時間を作ればいいのでしょうか?

それはずばり、カフェだと思うよ。例えばスターバックスは、家、会社と続いて、第三の居場所をカフェと位置づけ、やすらぎの時間を提供することで人気になった。

僕がいろんなことに手間をかけて、時間を好きに使えているのは、それ自体を自分の時間だと思っているからだよ。仕事を終わらせて、趣味を楽しむ。これが僕のお店のあり方かな。暇な時は、お客さんとプラモデル作ってるし(笑)。

こんなお店を少しでも面白いなと思ってくれる方は、大歓迎だよ! 一緒にプラモデル作ったり、映画みたりできるからぜひ、来て欲しいね(笑)。これからも、そういうお客さんのために頑張っていくよ。

-雰囲気は穏やかな方なのに、とても熱い気持ちを持っている方だと思いました。本日は貴重なお話ありがとうございます!

【ホームページやブログは隆二という名で統一されているということで、今回は隆二さんと呼ばせていただきました。皆さんも、「隆二さん、記事読みましたよ!」と自分の時間を取り戻しに、気軽に訪れてみてはいかがでしょう?】

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